ミネラルの循環

草木灰

草木灰

草木灰を作っています。人参の色が良く出ます。 以前は杉の皮も焼いていましたが現在は主に雑草を焼いています。空気を絞ってじっくりと焼くことでミネラルが水に溶けやすい状態になるようです。 元気に育った刈り草を焼くことで、含まれる酸素と炭素や窒素はガス化して大気中に帰ってゆきます。残った物はもともと土に含まれていた何か、それがミネラルでしょう。微生物や植物により水に溶けてる状態になって吸収されたものです。 それも植物が健康に育つためにバランスよく吸収したであろう、元々土に有った大切な何かです。 このドラム缶にぎゅうぎゅうに詰めて焼くと、2~3㎏の灰が出来ます。

川の水

田圃での水稲栽培は連作に継ぐ連作ですが連作障害はありません。これには河川からのミネラルの供給が多いに関係していると思います。 河川水に含まれるミネラルの平均的な数値は、ナトリュウム5mg/L、カリュウム1mg/L、マグネシウム2.4mg/L、カルシウム6.3mg/Lとの報告が有ります。 他にも微量なミネラルが沢山含まれています。 田圃に5㎝の水をはると表層の5㎝の水だけで50,000リットル/10aの水量となり、含まれるミネラルはナトリュウム255g、カリュウム50g、マグネシウム120g、カルシウム315gとなります。 水は常に供給され土に浸透して排水路や地下水へ流亡して行きますのでどの程度が耕土に常に存在するかはわかりませんが、不足する事無く常に供給されていると想像されます。水稲も畑で栽培することも出来ますが、畑では連作は難しいと聞きます。 連作障害のないミネラル豊富な野菜を栽培する為には、ミネラルをどの様に畑に循環・還元させるかが重要だと考えます。

海水利用

2011年秋更新 畝間で緑肥作物を栽培して、自然に分解していくやり方では微生物の活動を期待するほど高めることは 出来ませんでした。生産される有機物量が少ない場合も有り、外から雑草を持ち込むと雑草の種を撒き散らすことになり 無農薬の人参栽培では必須の草取りが大変になります。そんなこともあり現在有機物には籾殻を利用しています。 初期の微生物の活性を狙って食いつきやすい米糠を利用しています。籾殻を利用することで投入量が計量でき、 量的にも試行錯誤しています。米糠の量もC/N比を考慮してやったほうが糸状菌の活動を高められるとも考えられますし 、ある程度計算できるようになりそうです。表土と混ぜて土寄せすることで、土との接地面積を増やせる様にもなっています。 畝間に栽培する燕麦とヘアリーベッチは、茎葉による有機物還元よりも根による畑の深層部への有機物の供給を 考えています。 作物に直接肥料を与えるのではなく、微生物を生かし微生物との共生で育ってくれる事を目指しています。 周辺の刈り草は草木灰にして微生物の餌の有機物に混ぜます。 灰はもともと植物の体を作っていた元素のうちの窒素・炭素・水素・酸素を除いたミネラルです。 多種類でバランスが取れているに違いありません。植物に返す前にまず微生物に取り込んでもらいます。 海水についても色々な濃度と量で試していますが、畑にただ撒いてもあまり変化は無いようです。 餌のあるところに散布すれば目に見える変化を見つけることが出来るかもしれません。

思う

肥料をやらない自然栽培を行う上で、作物が育つ養分は作物残滓と畑にはえる雑草、緑肥作物等の有機物が微生物により分解される過程で生じるアミノ酸、硝酸、アンモニア等の形で作物に供給されています。(チッソ供給) 主要な養分とされているリン酸やカリについても主に有機物の分解により供給されています。 外部からの持ち込みを極力避け、畑の中での有機物の循環を目指しています。その為、面積当たりの作物の栽培量を少なく絞り、その分緑肥作物(雑草も含む)を多く栽培しています。 緑肥作物には炭水化物(ご飯・エネルギー)の供給をねらって稲科植物、窒素供給(おかず・肉となる)をねらって豆科植物を積極的に利用しています。(微生物や土壌小動物の餌) 大きな自然の循環の中で、涼やかに軽やかに回る風車の様に、野菜達が育つ姿、 そんな畑の風景をイメージしています。まだまだこれからですが。  最近、野菜に含まれるミネラルが化学肥料が使用される以前の数分の一になっていると聞きます。ミネラルはもともと岩石に含まれる鉱物元素で、岩石が風化して出来た土壌には多く含まれています。 只、畑として利用する上でその生産性から作物以外の雑草などは取り除かれ、裸状態で地面が剥き出しになっている割合が増えるとで降雨による流亡に拍車を掛けていると思われます。いわば砂漠化を起こす一方で肥料を投入して栽培しているという状況だと思います。 本来、地面を覆い尽くす植生とそこに住む小動物や微生物により、その場でミネラルは保持循環していたはずです。 畑では、人糞尿や家畜の糞尿等による循環もありました。家畜糞農の畑への還元は現在でも広く行われていますが、その量は考える必要が有ると思います。牛の放牧では1haに2頭が理想的とも聞きます、糞尿による循環量はその程度が適当という事かもしれません。  現在私は、海水によるミネラルの循環を考えています。 人糞尿を使用するには色んな意味で抵抗があります。しかしかつて先人は永く利用してきた実績もあり、畑から食べた物は畑に、流亡ミネラルは海から収穫して食べた物を返す。自然の循環の一員としての人間の役割がそこに有ったと思います。 また体液と海水の成分バランスは非常に近いものがあるようです。もともと生物の発生は海であったと言う事なのでうなずけます。  そこで、どの程度の量の海水を使用できるか私なりに考えてみました。 まず海水を使用するにあたって気になるのが塩分濃度です。人糞尿を自給の畑に返したとして考えて見ました。 1日10gの塩を食すると、年間3.65kgになり、これは糞尿として排泄されます。海水の塩分濃度を3.4%とすると、107リットルの海水量になります。 10アールの畑で4人が自給出来たとすれば428リットルの海水が利用できると言う事になります。 現在、実験的に撒いている量では、植えつけ予定まで相当な期間がある(植付けまでに何度も降雨が予想される)畝で約41㎡に如雨露で8リットル10アール当たりにすると195リットルとなり、1年間にこれだけの量ならまだ半以下で安全と思われます。 実際にはほとんどの場合20倍から100倍に薄めての散布がほとんどだと思われます。41㎡の(私の畑の標準的な一畝)なら同じ量の海水を20倍で撒く場合年間20回使用できることになります。 希薄倍率や散布時期、量など、観察を続ける必要が有りますが、まず全体量としてこの程度なら心配の無い量だと考えています。  ミネラルについては、量もさる事ながらバランスが大事なのではないかと思います。何かが足りないからと特定な成分を投入しても全体が把握できない以上バランスは崩れると思います。 塩分を必要とする人間が海から取り込んだミネラルを畑に返す事は、ごく自然な流れでしょう。人も自然の大循環の一部なのだから。